「一人の人間の歴史において、もっとも重要なことは、その人が何を目的としたかということである。」(ジョン・ラスキン)
モチベーション、やる気。勉強やスポーツにおいて努力をしている人なら、とても大切で自分の行動に影響があることが分かるでしょう。努力がまだできない人は、逆に言えばモチベーションややる気がないから、と言えるかもしれません。
今日はこのモチベーション・やる気について理解していきましょう。
モチベーションややる気と言う言葉は、「行動理由・動機」を意味しています。
そして人間の全ての行動は、たった2種類の理由しかありません。
それは「目的志向」と「問題回避」です。
「目的志向」とは、何かを得るために行動することです。「問題回避」とは、何かの不都合や問題が生じるのを避けるために行動することです。人間の全ての行動にはこの両方の側面があるのですが、どちらを理由として行動を取っているかがその人のモチベーション・やる気に影響を与えます。
例えば、勉強をするとき、良い点数を取って親に褒めてもらいたい!、とかあの大学に合格するために受験勉強を頑張る!のような理由で勉強をする人もいれば、悪い点数を取って親に怒られたくないから、とか受験に落ちたくないからという理由で勉強をする人もいるでしょう。どちら側の理由でモチベーションややる気が刺激されるかは人によります。
目的志向の人は得るものが自分の望み通りであったり、報酬が大きければ大きい程やる気が出ます。
問題回避の人は、起こりうる問題が大きくなり危機感が増せば増すほど必死で回避しようと行動力が増すでしょう。
それでは、両パターンの人それぞれについて、よりモチベーションややる気を発揮できるようにするにはどうすればよいかを見ていきます。
またこの目的志向と問題回避のタイプは、状況や背景によってその人の中で変わってきます。家庭では家族の安全を大事に考える問題回避の傾向であっても、仕事では昇進を目指して頑張る目的志向と言うように、どんな状況での行動化によって変わってくるので、まずは自分に「OO(背景や状況)において、大切なことは何だろうか?」と自問自答してみて下さい。
例えば、「勉強において、大切なことは何だろう?」と考えてみて、2~3個大切なものをあげてみて下さい。その答えが何かを得たり達成することを大切にするものならば、目的志向。何かを回避したり不都合が起こらないようにすることを大切にするものならば問題回避です。
まず「問題回避」型の人についてです。実はこの問題回避をモチベーションにする傾向があるひとは、やる気がなかなかでないと悩む傾向があります。なぜかと言うと、問題回避ではたしかに嫌なことを回避することはできますが、それが本当に自分の望むものなのかと言われると、そうではないことが多いからです。
例えば勉強をする理由で、親に怒られたくないからと頑張ったとしても、本当は怒られなかったという状況よりも褒められたり大切にされたいという欲求がその奥には隠されているでしょう。自分が本当に望むもの、心から願うものでなければ人は満足できません。
だから何かを避けたり現状維持を願って行動をするようにしていると、何となく心が満足せず、やるぞ!という気にはなりにくいものがあるのです。
しかし、これも状況によります。なぜかと言うと、この問題回避の意識がないと、この世の中にもっと犯罪が増える可能性があったり、命の危険に及ぶこともあるからです。警察に捕まって罰を受ける、規模を小さくすると学校の先生に見つかって怒られる、のが嫌だから行動を自制したりすることもあるでしょう。
これはどちらの方がよいか悪いかではなく、モチベーション・やる気をどうしたらあげられるかの説明なので、誤解をしないようにしてください。
まとめると、その問題を回避することで得られるもの、目の前の問題ばかりに焦点を当てるのではなく、その問題の先にあるものに焦点を当てる方がモチベーションは高まりやすくなります。
次は「目的志向」型の人についてです。問題の先にある、自分が望むものに焦点を当ててもまだやる気がなかなかでないこともあるでしょう。自分の好きなことをやっていてもなぜか心から満足できなかったり、違和感を感じることもあると思います。こういう人は、欲しいものや目標の先にある、「目的」を見失っている人です。
「目的の階層」とも呼びますが、例えば大学受験に合格するために勉強を頑張る。これは目的志向の動機ですね。しかし、ではなぜその大学に行きたいのか?そしてそれは何のためなのか?と言う最終目的がはっきりしていないと、実はそれが本当に心の底から自分が最も欲しているものではなかったりします。
実は画家になって自分を表現したいと心では感じていても、なるのは難しそうだから、とかそれでは食べていけないからとりあえずなるべくいい大学に行こう、等と言う理由で決めた大学受験合格という目標では、絶対にやる気は高まりません。
モチベーション・やる気とは、心の声であり、幸せな人生へ向かっていくためのエネルギーの源泉なのです!目標や得たいものの奥深くにある目的、ここにしっかりと向き合うことで、また思い返すことでやる気は高まります。
以前勤めていた会社の社員で、子供たちを笑顔にしたいという目的で塾の先生になったのに、いつしか授業料や売り上げをあげる事だけに囚われて、子供たちに必要以上に勉強を強要し、気づくと子供たちが塾に行きたくないと退塾が増えてしまい、働く意欲が落ち込み辞めたいと言っている人がいました。
目的が理性的な考え方や日常の忙しさで埋もれてしまうとモチベーションは低下します。そういう時は少し自分自身と向き合う時間を取って、いったい自分はなぜこれをしているのか?自分がこれで大切にしていたことは何だろうか?と目的を意識し直すことが必要です。
モチベーション・やる気が高いという事は、行動力が高まるので、その分成長が速かったり、成果も大きくなりがちです。心の底から沸くモチベーション・やる気をエネルギーの源とせず、自分の外側にある理由や圧力で行動を強制されると、同じことをしても幸せにはなりません。
このモチベーション・やる気をうまく保つことが、成功の大きな要因の一つであることは間違いないでしょう。
モチベーション・やる気の維持は、自分自身でもできますが、自分自身を自分で客観的に見ることはとても難しいです。指導者や先生、コーチの最も重要な役割は、相手の本当のモチベーション・やる気に意識を自分から向けられるようにコーチングしてあげることではないでしょうか。是非一度、「スポーツマンシップラーニングセンター」での学びを通してやる気の高まりを感じてみて下さい。この気づきは一生モノです。
では最後に、一つ自分で簡単にできるワークをご紹介します。NLPと言う心理学で扱われているワークの一つで、「モーニング・クエスチョン」と言うものがあります。朝起きてまず以下の8つの質問に答えるだけという簡単なワークですが、ポイントは毎朝繰り返すという事です。この質問に答える事で、これから一日の活動をしていく前に、自然と目的を再認識出来たり自分自身の本当の目的に意識が行くようになっていきます。そうすることで、日々のやる気を高めたり、今の自分自身に足りないことが明確になってくると思います。是非、試してみて下さい!
①今、私の人生で何が幸せだろうか?
②今、私の人生で何がエキサイティングなのだろうか?
③今、私の人生で誇りに思うことは何だろうか?
④今、私は何に感謝しているだろうか?
⑤今、私が楽しんでいることは何だろうか?
⑥今、私が一番大切にしていることは何だろうか?
⑦今、私は誰を愛しているだろうか?
⑧今、私を愛してくれているのは誰だろうか? 以上
プジョル