「手段は完璧で、目的は混乱しているというのが、私の見た現代の特長だ。」(アインシュタイン)
「富は手段であり、その目的は人間である。物質的な富は人間の向上のために用いられなければ意味がないと言ってよい。」(ジョン・F・ケネディ)
「目的を見つけよ。手段は後からついてくる。」(マハトマ・ガンジー)
「企業の目的は何か?利益は、目的ではなく手段である。企業とは社会のための道具であり、社会のための組織である。」(ピーター・ドラッカー)
パーパス(=目的)を忘れた現代の教育
最近、複数の教育関係の企業に従事されている方とお話をする機会がありました。学校の先生の労働環境が大きな問題になっているためか、教育業界もいろいろ変わってきているところがあり、サービスもさまざまに増えてきました。塾業界も多種多様を極め、少子化に対して生徒をいかに確保できるか、工夫をされていると感じました。
しかし、私は大きく疑問に感じる部分がありました。これはむしろ教育業界に対してだけではないのかもしれませんが、「なぜあなたは教育業界で働いているのか?」という部分です。
いかに子供たちを育てるか、どんな教育が子供たちにとって良いのかという探究心や、使命感のようなものが全く感じられず、ほとんどの会社が「自社を大きくしたい」、「売り上げを伸ばしたい」という結果の話ばかりしています。
また、上位の大学や高校、海外留学を目指すような比較的学力が高い生徒を普段サポートしている塾の方は、「偏差値の低い学力の生徒が来たら、無理だと説得して諦めさせる。合格率が下がると塾の評判が下がるから。」などと平気で言っていました。
お前にとって教育とは何なんだ、と思わず噴火してしまいそうでしたが(笑)、何とか抑えました。
目の前の子供たちを幸せにしてあげる事が出来て、その先にお金やら会社の規模拡大などの話があるんです。もちろんどの会社もきれいごとでいっぱいの理念などは掲げられています。しかし全くその理念を実現させようとしている行動や態度、姿勢が感じられません。
なぜあなたの企業が大きくなることが良いことなのですか?あなたの塾に入ることがなぜ良いのでしょうか?そういう根本、目的をしっかり共通認識として持っていなくてはならないと思います。そんなにいなら儲けたいならIT業界とか、他の所行け!と思ってしまいます。
勉強しかしてこなかったような人たちが教育に関わるから、自分の得意だったりマウントを取りやすいから勉強に関わる仕事をしている人が多いように感じます。そんな人に、自分だったらお金を払って教育してほしいなどとは思いません。しかし学歴重視が蔓延る世の中なので、そんな塾や会社ばかりでも、通う生徒はたくさんいます。ハッキリ言って、時間もお金ももったいないと言わざるを得ません。
最近ではこうした「なぜ」や「目的」を意識した経営を、「パーパス経営」や「目的ドリブン」というそうで、本も多く出ていました。しかし私は、最近の体験からこの観点を教育にも当てはめて考えるべきだと感じました。
それがパーパス経営ならぬ「パーパス教育」です。パーパスとは、英語で「目的・意義」を表します。
「何のための教育なのか?」を探っていくことです。現代、国が学校教育を通して行っている教育は、大人になった後、企業で従順に働き、成果をあげれるようにすることが目的になっています。だから言われたとおり、求められた通りに従って勉強に励むような人の方が、企業側としても扱いやすく重宝されがちなので、学歴が重視されるのです。
しかし、私たちは人間です。そのような人生を歩むことだけが正解なのでしょうか?会社のコマになって、手足となって働くことが人生の目的でしょうか?
働く前に、人としてどう在るべきか、教育を通して子供たちが全て個性どおりに自分の人生を歩み、幸せになっていけるようにすることこそが教育の目的であるべきではないでしょうか?そしてそのためにどんな教育をしていけばよいか、この理想のための行動を取っていくべきです。そう考えていけば、学校で習うような科目の勉強だけでは到底足りないこともお分かりになると思います。
しかしこうしたパーパスを意識した教育にシフトしていくことは、とても難しいと思います。なぜならそこで働く大人たち、子供の環境を取り巻く大人たちが幸せではないので、人の事などにかまっていられないのです。
もちろん学校の先生の業務量の多さや、労働時間の長さにも限度はありますし、改善も必要だとは思います。しかしどんな仕事でもそうだと思いますが、その仕事が自分の転職で、使命感を持って真摯に本気で教育と向き合おうとすれば、そんなにワークライフバランスなんか気にならないと思うのです。そこまでの意識で教育に向き合っていないから、教育の内容に不満は出ないのに待遇にはたくさん不満が出るのだと思います。いじめはなくならないし、いい加減な進路指導はもはや当たり前になっているし、いまだに部活動での体罰も問題になる。
もっと教育に関わる人がみんな本当に教育と向き合って、教育体制を整えたり制度を変えることの方が根本的な解決になると思うのです。
なので、これからはもっと教育の目的を考え、突き詰めて探究し、その理念のための行動を取っていくことが求められると思います。そういう意味での「パーパス教育」です。物質を求めすぎてしまい、暴走する資本主義に生きている現代の人類は、近い将来必ず自分自身の心身の健康や、人とのつながりの大切さに立ち返るようになるでしょう。これは人間としての性質なので、不可避なのです。このような本来の人間性に立ち返った、幸せのための最先端の教育を、私自身これからもどんどん探究し、より多くの子供たちへ届けていきたいと思います。
パーパス教育にご興味がある方は是非、「スポーツマンシップラーニングセンター」をご覧ください!
プジョル