「すべての知識の拡大は、無意識を意識化することから生じる。」(フリードリヒ・ニーチェ)

何かしらの物事を学んで成長する時、それは知識を学ぶときもそうですし、スポーツなどで何かスキルや技術を習得する時もそうですが、そこには5つのステップがあると言われています(この記事の図を参照してください)。

これは脳の学習過程に基づくものなので、何かを学び成長を深めていくうえで指針になると思います。

まず学習し、成長するという事は、直線的ではなく段階的なものです。つまり段階的という事は、積み重ねがあるという事です。また、各段階には必ず「定着」という横ばいの時期があります

脳は、自分自身の安全や幸福、成功に関わる重要な情報以外の不必要な情報は忘れていくように出来ています。なので、自分の脳にこれは重要だ、覚えておかないといけないと強く認識をさせて長期記憶をさせるには繰り返し反復する必要があるので、時間がかかるという事です。

この性質を理解したうえで、各段階をサッカーの習得を例えに説明していきます。

①無意識的無能:これは「知らないし、できない」という最初の段階です。例えばサッカーを初めて始める時、最初は誰でも正しい蹴り方を知らないので、いきなり遠くに蹴れるはずがありません。もし既にサッカーの試合を見たり他の人が蹴っている姿を見ていれば、最初から蹴れる場合もあるかもしれませんが(②の段階)、それはもう何かを見た段階で学習が始まっていると言えます。この段階は、存在を知らない、だからできなくて当然の段階です。

②意識的無能:これは「知っていても・考えてもできない」という段階です。コーチやほかの人にこうやってボールを蹴るといいよと教わったり、サッカーの試合や動画を見てこうやって蹴るんだぁと蹴り方を知っていても、最初からすぐにはできないでしょう。この段階は、他の段階と比べて最も横ばいの時期が長くなりがちです。結果だけを見れば①の段階と変わらないので、成長や達成感を感じづらいかもしれませんが、継続と忍耐が必要な時期になります。逆にできないことが知恵や工夫を必要とする可能性もあるでしょう。

③意識的有能:これは「考えるとできる」という段階です。この②から③のステップが最も重要で、過程はどうであれ初めて「できた」という経験をします。何回も繰り返しボールを蹴ることで、感覚やコツをつかみながら慣れていき、遠くに蹴ることができた!と認識する段階と言えます。しかしまだ考えないとできないので、毎回同じようにうまくいくわけではありません。横ばいの間は、上手くいくことは増えるものの結果が安定しない状態が続くでしょう。頭でいちいち意識をしないとうまくいかないのです。

④無意識的有能:これは「考えなくてもできる」と言う段階です。何回もボールを蹴り続けることで、慣れてきて次第にあまり意識をしなくても再現ができるようにな結果も安定してきます。また考える必要がないので、無駄が減り、スピードがアップします。この③と④の段階の差が、スポーツではプロとアマチュアを分けるラインだと感じています。サッカーであれば、一瞬一瞬素早い判断を求められる中でいちいち「ここに敵がいて味方はあそこでこういうボールの持ち方をしているからここへパスを出そう!」などと考えている時間はないのです。意識せずとも体がうまく動く段階まで落とし込んでおけば、考える時間がない局面であればあるほど勝手に体が動いたり、自分でも考えつかない創造性溢れたプレーが出てきやすくなります。無意識とは自分の感性を意味しているので、脳内で言語化をせず自分が見たり聞こえたり感じたりするまま感覚で行動します。ようやくスポーツ界でも、ここの段階を目指すようなトレーニング理論や実践が出てきたかなと感じます。

⑤無意識的有能に意識的有能:これは「教えることができる」という物事を習得したと言える最終段階です。④の段階では意識をしないでできるようになりますが、感じたまま勝手に動く段階なので、なんでこんなことが思いついたり思い出されたり、こんな行動を自分はしたのだろうとうまく自分では説明ができません。しかしこの⑤の段階ではその無意識的な行動を、「これがこうだったから自分はこう判断したんだ!」と理由や意図を言葉でまとめたり説明したりすることができるようになります。この段階には、客観的な視点も求められます。教える段階はどちらかというとコーチや監督の方がイメージしやすいですが、サッカーでも試合で自分たちの試合運びがうまくいっていないとき、選手たちは基本的に自分の視点からしかその試合を見ることができないので、全体から見てなぜうまくいっていないのか、どこに問題があって自分たちのプレーが出来ていないのかを明確に把握することが困難です。そこでコーチが客観的に試合を見ながら、「うまくいっていないなぁ」という選手の感覚を言葉で論理的に説明してあげることで、選手たちに具体的な解決策を提示してあげることができます。特にスポーツであればなおさら競争性があるので、集中することで④の段階に到達していなくても、焦ったり何も考えずに無意識でプレーをし上手くいかないことがあります。アインシュタインの言葉で、「6歳児に説明することができなければ、物事を本当に理解したとは言えない」というものがありますが、まさにこの段階を指しています。無意識的にやっていることを意識して活用できる段階なのです。

この5段階をひとつづつ上がっていくことでもう一つ得られるものは、応用力です。繰り返していくことで、その物事の本質が見えるようになってきます。

例えば勉強でも、まずはインプットして知識を増やしたくさん問題を解くことで、学んできたような質問のされ方をしなくても試験の場でこの質問の本質、つまり聞かれていることはこれだ!と気が付き、応用問題でも解法を導きやすくなることがあります。パッとひらめいたり、思いついたりすることがあるという事です。

学びには、この学習の5段階の各段階に横ばいの時間帯があることからどうしてもある程度時間がかかるものなのです。根気強く諦めず、勉強量が多い程学力が上がるのは必然的なのです。多くの人がこの段階までに、感情に左右され到達することができないので、勉強ができないと思い込んでしまう人は多いように感じます。

是非みなさんもこの5段階を意識して、勉強でもスポーツでもどんなことに対しても、学びを深めていってください!「スポーツマンシップラーニングセンター」ではさらに学びを深める方法を実体験できます。是非一緒に正しい学び方を身に付けていきましょう!

プジョル

By プジョル

訪問ありがとうございます。 「人」への学びを深めた経験と知識を基に、スポーツに打ち込む中高生へ人生が幸せで楽しくなる人間性・人間力教育を通して文武両面で成果を出す方法を伝えています! 未来の可能性が無限な子供たちがどんどん意欲を持って人生を楽しいと思える社会を作らないと、この国の未来は暗くなる一方です。現役時代にバルセロナのレジェンドで知る人ぞ知る”プジョル”から学んだ情熱を胸に、教育革命を、人生革命を起こしていきます! スポーツ大好きな中高生の皆さんや、その保護者さんに向けて日々の学びや少しでも役立つ考え方や情報を投稿していければと思います。 個別コーチングや保護者相談など、勉強やスポーツのことはもちろん、塾長時代の経験から学校生活の事や進路相談も可能です!お悩みがあればいつでも気軽にご相談ください!!!