「樹木にとって最も大切なものは何かと問うたら、それは果実だと誰もが答えるだろう。しかし実際には種なのだ。」(フリードリヒ・ニーチェ)
物事の本質を見抜く
みなさんは経済産業省によって発表されている「社会人基礎力」というものをご存知でしょうか?
①前に踏み出す力:主体性、働きかけ力、実行力
②考え抜く力:課題発見力、計画力、創造力
③チームで働く力:発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力
教育界でも、社会に出てから必要になる学習を学校で行うべきという意見が多く出ており、経済や政治といった学問を始めこういった社会人基礎力というものが一つ指針となっているようです。
しかしこの社会人基礎力とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」とされており、仕事やビジネスにおいて、という部分に限られます。確かにこれらの能力は大切な部分もありますが、社会に出るとは単に仕事をするという意味なのでしょうか?そもそも我々人類が仕事をする理由は何でしょうか?経済産業省から出ているので、彼らは教育を人材育成と言い、起業の中で働く有能な人間を育てることを求めています。学校が国のための労働者養成場となってしまっていると感じざるを得ません。
人としていかに生きるか、ここを欠いた教育ばかりしているから日本の幸福度は主要先進国の中で最下位を長年キープしているのです。
まず、「人」を知ること。
どうすれば心身の健康を保つことができるのか、どうすれば自分が最も幸せを感じて輝く生き方・自己実現を成していけるのか、それから絶対に必要な周りの人とのコミュニケーションをどうとっていくのか等、社会に出て一人の人間として生きている意味や価値を感じながら生きていくために学んでおくべき大切なことがもっとあるはずです!
その先に仕事やビジネスがあるんです。あまりにも優先順位や人間にとって本当に大切なことがないがしろにされてしまっているように感じます。自分が何者なのかも分からないまま社会に出て結果を求められ、仕事上の成功ばかり積み重なっても、苦悩がたまる一方です。
私の家の近くにあるマクドナルドの入り口に、毎日警備員の方がいて駐車場への出入りを誘導してくださっている方がいるのですが、一人だけいつみても常に素晴らしい笑顔で「いらっしゃいませ!」、「ありがとうございます!」とお客を出迎え、送り出している人がいるんです。この人に会うためにマクドナルドに行きたいなと思わせてくれるような人です。どんな経緯があってこの仕事をなさっているかは分かりませんが、どんなに知識があっても優秀でも豊かな人間性を備えていなくては仕事をする側もそのサービスを受ける側も幸せにならないと思います。
仕事をすることの究極の目的は、人類がより豊かで幸せな生活を送りながら生き延びられるようにお互いの長所を交換し合う事であって、お金儲けではないんです。起業で働くことの目的をお金ととらえているからこそ、こうした人間性を教育する機会が設けられていない。
お金は、人をだましたり、奪う事でも手に入れることはできます。例えばタバコなんてまさにそうです。人の健康を奪う事でお金を儲けています。国がそれを規制しないのは、国民がストレスや不満を貯め込みすぎてコントロール不能にならないようにするためです。対処療法であり、原因療法になっていないんです。国民が幸福を感じられない、という不満をたばこや酒を流通させることで抑えるのではなく、子供たちに誰もが自己重要感を感じれるように人とのコミュニケーションの仕方を教え、しっかりと個性どおり自分の人生を最大限生きていけるように教育することで人間の根本的な部分を養うようにすべきでしょう。
ビジネス界では、儲かれば成功です。こういった職業上での金銭的な成功を念頭に置くのではなく、純粋により周りの人を幸せにしていきたいという思いで自分の仕事に専念できれば社会への不満は軽減できるでしょう。
勘違いしてほしくはないのですが、お金は大切です。しかし最重要ではない。なぜならお金は人間が作り出した人工物・制度であり、自然のものではないからです。本質を見ていくと、今の教育や産業などのあらゆる分野での指針が全て金儲けという目的から生まれているので、そこが終着点ではないだろうと思うわけです。世界に対するイメージなども懸念しながらなので、偽善行動にしか感じれません。SDGsだってそうです。本気で未来の子供たちのために地球環境やバランスが必要だと信じて行動している人がどれほどいるでしょうか?ほとんどが企業や国のイメージ問題でしょう。
お金ばかり追うから人が減るんです。人を追うとお金が付いてくるんです。なぜか?それはお金が人工物だからです。
人間性がもっと豊かになり、自分や自社、自国の事ばかり考える人たちが減って、周りの人や地球、宇宙などより大きな他者他物の存在に意識が向く人が増えていかないと、人類は確実にゆっくりと自滅するでしょう。しかし私たち全人類のDNAに備わっている「人間性」が勝利することを確信しています。
私たち大人の作った間違った社会の犠牲に子供たちがならないよう、「人間性」を呼び覚ます教育を続けていきたいと思います!
プジョル