「登りたい山を決める」
「覚悟」という言葉は珍しい言葉ではありません。
しかし、これを実感として理解している人はなかなかいないでしょう。特にまだ若い中学生や高校生たちにとっては、まだよくわからない自分の将来に対して「これをやりたい!」「これを目指したい!」と覚悟を決めることは難しいかもしれません。
上の言葉は、ソフトバンク創業者の孫正義さんのものです。以下、スピーチの抜粋です。
「みんな一生懸命生きているんです。みなさんの親も親戚も友達も、一生懸命生きてんです。だけどね、登りたい山を決めていない人、腹の底から決め切れていない人が実は99%なんです。99%の人が、しっかりと腹の底から自分の登るべき山、自分の夢、自分の志を決め切れていない。一生懸命生きることは美しい。ただ時間には限りがある。目指すところがあるとないとでは、きっと結果は変わってくる。」
私自身もつい最近まではそうでした。自分はこれが好き、これをやりたいというのは幸運なことに昔からありました。
しかし本気でこれで生きていくのか、決めてたつもりでしたが、腹の底からではなかった。そしてこの覚悟のなさが後の成功と失敗を分けるのだと思います。
覚悟がないから、中途半端だから行動に自信がない。成果も出ない。だからそのうち困難やスランプにぶつかります。この困難は、人生が与えてくれる「覚悟を持つチャンス」、「覚悟を再認識するチャンス」なのです。
上手くいかないと、必ず周りの人は何かと言ってきます。やっぱり無理じゃないか、考え直した方がいい、そんな簡単にうまくいくわけがないよ、と自分の登りたい山を決めていない人に限ってそう言います。自分の登る山を決めて本気で挑戦しようとしたことがある人なら絶対にそんなことは言ってきません。
もしかしたら自分自身で疑って自分にネガティブな言葉をかけてしまう人もいるかもしれません。でもそんなときは自分の心だけに聞くんです。「夢をかなえる覚悟はまだあるのかどうか」と。
物事に挑戦し、より良く、より以上を目指すのは人間性のうちの一つです。私は人生普通で良い、したいことがないというのは、自分の心を無視し、人間性を失ってしまっている証拠です。
人が映画やドラマの主人公、スポーツ選手やもちろん人間の赤ちゃんなどの成長に感動を覚えるのは、成長する、より以上を目指したいという人間性が備わっているからなのです。
社会に染まってしまう大人たちの方が、大人になってからの方が覚悟を決めるのが難しいです。「そうはいっても、、、」と言う挑戦を阻む現実的な物事や理由が大人であれば誰しも一つや二つあるものでしょう。
しかし人間である以上、人間としての性質を無視して生きれば違和感や不十分を感じます。そこに向き合う覚悟を持てるか、自分を信じれるかという事です。
中高生などの子供たちであれば、何かこれを目指したい、スポーツであればプロになりたいとか、将来こんなことをしたいという夢・志を何かしら絶対に感じているはずです。
しかし実際は難しい、とかそれでは食べていけないとか、言い訳が出てくる。そんな覚悟のなさではできるものもできなくなってしまう。まだ若く自信が持てなくて当然です。
だからこそ、身近な大人たちが、実際に覚悟を決めて自分の山を登っている大人たちが全力で応援してあげる必要があると思います。覚悟とは信頼です。自分なら困難を乗り越えて必ず達成できると信じれるか、保護者や学校の先生であればこの子なら絶対にやってくれるはずだと信じれるか。そして信じて待ち続けるのです。
子供の夢を信じられず、無意識に自分たちの生きてきたとおりの現実的な人生を子供たちにも生きさせようとする大人は意外と多いです。
最後に、「出光佐三(いでみつ さぞう)」と言う人の話を共有します。この記事のトップ画像にある、ガソリンスタンドでおなじみの出光興産の創業者の方です。創業110年を超え、海外にも展開する一流企業ですが、この成功を支えたある人物がいます。それは日田重太郎(ひた じゅうたろう)です。出光は25歳の時、彼の両親の事業が閉鎖してしまい「辛い思いを両親にさせたくない」との思いで自身の開業を決意しますが、開業資金のめどもなく、ひどく悩んでいました。そんな時、お金を稼ぐためにしていた家庭教師の子供の親がこの日田重太郎という人物で、彼は出光の思いと将来性を見込んで、多額の資金を返済無用と言って提供しました。現在の金額で換算すると1億円ほどだったそうです。しかし出光は最初の3年間は失敗の連続で、この1億円を全て失ってしまいました。それでも出光のことを信じ続けた日田はさらに自分の家を売ってまで資金を作って提供します。この日田の信じる気持ちが出光の覚悟をさらに強くしたのでしょう。その後の出光は大躍進を遂げます。日田は資産家でお金持ちだったとはいえ、多額のお金をあげたことよりも親族でもない他人である若者を信じたことが出光の成功の大きな要因だったことは間違いありません。何がそこまで出光を信じさせたかは分かりません。資金を無くしてしまったりするところからも、出光に最初から突出した才能や能力があったわけではないかもしれません。しかし無条件に信じる、覚悟を決めさせてあげるという身近な人が作る心理的安全性は若者にとって将来を左右するものでしょう。
私自身もまだまだ挑戦の駆け出し中です。なかなか行動できず、うまくいかずに悩む日々を経験してきましたが、しっかり自分に向き合い何がいけないのかと振り返ったとき、この覚悟のなさが全ての要因だったと感じることができました。
自分自身を信じるのは簡単な事ではないです。だからこそ、一緒にお互いを信じあい鼓舞しあう環境で、夢を目指す力を身に付けましょう!(詳しくは「スポーツマンシップラーニングセンター」をチェック!)
プジョル